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昨年末に某メーカーHP上でマイクロフォーサーズ用のフォーサーズレンズを使ったシフト&チルトアダプタを開発中のアナウンスが有り、最近になってHP上に解説と一部の雑誌等に紹介記事が出たらしいのですが、アダプタの写真は一切無くそのアダプタを使用した写真2枚のみ公表されました。 そして仕組みとして簡単な図解が書かれているのですが、幾つか気になる点が有るので書いてみます。 一点目がイメージサークルの問題 フォーサーズレンズの場合、周辺減光が出ないようにレンズ自体のイメージサークルを大きめに取っていますが(そのせいで素子サイズに対してレンズが小型化出来ていませんけど...)果たしてレンズをシフトやチルトした場合にどの程度までカバーできるのか... 二点目がレンズをチルトする際の回転中心の位置はどうなのか HP上には、この様な模式図が書かれています。 そしてチルトやシフトを利用した際の模式図は以下の通り(判りやすくするためにセンサーのセンターに線を足しています) ここで、チルトさせる際の回転中心が模式図通りであるならばアダプタのレンズ取付面付近に回転中心を設けている事となります。(本来はチルトさせる場合、素子面付近を回転中心とした方が扱いやすいです) ここでレンズが真っすぐな状態でピントが合っていると仮定した場合のレンズ取付面からセンサー迄の距離を考えると、チルトした時に距離が変わってしまいます。マイクロフォーサーズ機の場合はコントラストAFが基本なので確かにAFとしては動作に問題は出ないと思われますが、フォーサーズレンズを考えた場合にはカメラ本体で測距したデータに基づきレンズ側へ可変量を伝達してフォーカスを合わせる動作を行っているのでフォーサーズレンズでハイスピードメージャー対応で無いレンズの場合、AFが正常に動作出来るのか不安が有ります。(商品説明にシフト機構でピント位置を変えられるというのも、良く考えるとおかしな話です。ピント位置をズラしたらイメージサークルから外れますので) 模式図通りの構成であるならば、チルトのみ行った場合に確実にイメージサークルから外れる可能性が出るのでチルトする場合はシフトも併用しないと実用に向かない(四隅が均等に周辺減光せず模式図だとセンサー上方[写真では下側]が減光する)と思われます。 三点目が強度の問題 製品仕様として500g迄のレンズと書かれていますが、500g以下のレンズを付けた状態でカメラを手に持って歩いた場合、慣性等によりレンズの自重より大きな力が加わります。アダプタの詳細が判らないのでどうなるか不明ですがARSATのS&TレンズやTS-Eレンズの様にギアやスクリューで機構を保持する構成になっていないと厳しい可能性がありますね。 フォーサーズのフランジバックが約40mm、マイクロフォーサーズが約20mm(実際は両方とも、もう少し短いですけど)、アダプタの厚みが20mm、強度を余り考えなければ機構は入りますけど... 四点目がチルト、シフトの可動量 この辺りのスペックが上下方向に可変出来る以外の事は一切書かれていないのですが、模式図の構成だとした場合に最大チルトさせると、おおよそフォーサーズのフランジバック×TANチルト角度分はセンサーのセンターに対し光軸がズレることとなります。ざっと計算した場合、5mm以上のズレが生じるのが判りますのでシフトの可変量は最低でも片側5mmは必要となります。(シフトレンズとしても使用するなら更に可変量が必要かも?) と、ちょっと思っただけでも色々と考えてしまうアダプタでは有ります。誰か人柱で購入してくれないかな?(笑) 予価が4万位ということなので、それだったらARSATのレンズかイタリア製のアダプタの方が安いし、発売された頃にはオリンパスのマイクロフォーサーズ機の中古本体の方が便利だと思いますけど... σ(^◇^;) 最後にHP上の作例ですが、チルト方向は上下のみとなっている筈なのにバイオリンの作例は縦構図でフォーカスエリアが横なので、実際にアダプタを使用した写真であるならばトリミングされたものですね。 となるともう一方の作例も撮って出しの物で無い可能性も有るので、どうなんでしょう? それと、この会社、連絡先としてメールアドレスは書かれていますが所在地等の記載も一切無く、一部通信販売している(今は一時休止みたいですけど)割に特定商取引法に基づく表記も一切無いのは問題ではないのでしょうか?
by ichibey
| 2010-03-09 16:15
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